肝臓がんにオメガ3は効くのか?
肝臓がんとオメガ3
肝臓がんとオメガ3に関しては、国立がんセンターが11年間(1995年から2006年)の長期に渡り調査研究した報告があります。
この研究は「n-3不飽和脂肪酸が肝がんのリスクをさげる可能性を報告したはじめての研究」ということです。
http://goo.gl/nVPso8
2012年6月11日の朝日新聞の記事によれば、魚を多く食べると肝臓がんのリスクが減ることが大規模調査の結果、判明したようです。
研究は国立がんセンターが1995年から2006年の間の11年間に、大阪や長崎など9府県に住む男女合わせた約90,000人を対象に行われたもの。同調査は40〜69歳の人々を対象に追跡調査がなされた。
調査の結果、イワシやサバに多く含まれているドコサヘキサエン酸(DHA)やEPAをはじめとする不飽和脂肪酸のオメガ3系の必須脂肪酸フィッシュオイルを含む魚をもっとも多く食べたグループは一番少ないグループと比較した場合に、炎症と大きく関係している肝臓がんになるリスクが約3分の2に下がっていたとのこと。
今回の調査の結論として、炎症を防ぐ作用がある不飽和脂肪酸は、慢性肝炎の炎症を抑え、肝がんになりにくくしている可能性があると報告。
http://goo.gl/xesKBK
なぜ、n-3不飽和脂肪酸は肝がんのリスクをさげるのか?
n-3不飽和脂肪酸には抗炎症作用があることが報告されています。肝がんになる方の多くは、B型・C型肝炎ウイルスによる慢性肝炎を経て発症するので、n-3不飽和脂肪酸は慢性肝炎への抗炎症作用をとおして肝がんの発症をおさえるのかもしれません。
また、n-3不飽和脂肪酸にはインスリン抵抗性を改善する作用があることも報告されています。近年、多くの疫学研究で、糖尿病や肥満が肝がんのリスクをあげることが報告されていることから、インスリン抵抗性は肝がんのリスクと考えられています。
肝がんリスクの低下は、抗炎症作用に加えて、n-3不飽和脂肪酸によるインスリン抵抗性の改善によるのかもしれません。
今回の研究について
今回の研究は、n-3不飽和脂肪酸が肝がんのリスクをさげる可能性を報告したはじめての研究です。さらに、肝炎ウイルス感染者に限った解析においても予防効果が認められたことより、肝炎ウイルス感染者の肝がん予防という観点からも有用なエビデンスを示したものと考えます。
まとめ
http://goo.gl/tQAfiK
今まで肉ばかり食べていた人が野菜を中心にした食事に代えたらがんが自然に消えたという例が多く報告されています。
また、動物性脂肪(オメガ6不飽和脂肪酸や飽和脂肪酸)を減らし魚の脂に多く含まれるオメガ3不飽和脂肪酸の量を増やすと、がんが消えたという症例報告もあります。
このような経験から、がんの食事療法は、野菜やオメガ3不飽和脂肪酸の摂取が基本になっています。
このお話のように個々の患者さんの事例からオメガ3が肝臓がんに対しても有効そうだという見解は以前からあったようです。
そして、その見解を後押しする形になったのが国立がんセンターの研究ですね。
もちろん「魚」(に含まれているオメガ3)が本当にいいのか、「魚」を食べる人の食生活自体がいいのかはわかりません。
それでも、日本人は古くから魚を食べて生きてきた民族ですから、日本人の体は魚を食すのに合った体になっていそうということは言えると思います。
オメガ3(α-リノレン酸)は魚以外からも摂取でき、体内でDHAやEPAに変換されるそうですが、変換されるのは10〜15%と言われます(ウィキペディアの「α-リノレン酸」参照)。
ですから、やはり魚を食べるか魚由来のオメガ3サプリを摂取するのがオススメです。